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アブ・シンベル神殿

1960年代のアスワンハイダム建設で水没を危惧された、アブ・シンベル神殿。アスワンの南280km、アスワンハイダム建設によってできた、人造湖であるナセル湖のほとりにあります。

アブ・シンベル神殿は、古代エジプト新王国時代第19王朝のラメセス2世によって建設されました。今から約3300年前のことです。ラメセス2世は、カルナック神殿やルクソール神殿にも自分の巨像を残しています。よほど自己顕示欲が強かったのでしょう。大神殿正面には4体のラメセス2世像がまさにそびえたっています。その高さは20m。あまりの大きさに圧倒されてしまうばかりです。その巨像の上にずらりと並んでいるのが、日の出を喜ぶ22体のヒヒ。ユニークなその姿には、思わず笑みがこぼれます。

入り口手前には、戦争捕虜のレリーフが残ります。アフリカ系の捕虜など、その顔つきは明らかにアラブ系とは異なります。

アブ・シンベル神殿、正確にはアブ・シンベル大神殿の横には、大神殿にそっと寄り添うように、アブ・シンベル小神殿があります。ラメセス2世が王妃フェルトアリのために建造した岩窟神殿です。4体のラメセス2世と、2体のネフェルトアリ像、さらに足元には彼らの子どもたちの像が刻まれています。

アブ・シンベル神殿では、夜、音と光のショーが催されます。ユネスコによる神殿の救済から始まり、ラメセス2世とその妃ネフェルトアリの夫婦愛、戦いの歴史が星空のもとで繰り広げられます。昼間のあの暑さがうそのように、ナセル湖から涼しい夜風がそよいできます。

ライトアップされた大・小のアブ・シンベル神殿を見ていると、悠久の時間の思いを馳せると共に、このすばらしい遺跡がダムの水の底に沈まなくて本当に良かった、とつくづく思います。

 
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